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シロアリ対策としてまずイメージしやすいのが、家に使う木材の種類を変えることです。シロアリは湿気の多い環境を好んで住み着くため、裏を返せば乾いた木材であればシロアリに巣食われにくいといえます。内在する湿気が少ない木材の代表例としては、「チーク」「ヒノキ」「ヒバ」などが挙げられます。
しかし、家の構造体に用いる樹種を指定できない場合もあり、指定できたとしても大幅なコストアップは覚悟しておかなければなりません。さらに、これらの樹種もあくまで「食べられにくい」だけで、シロアリに全く「食べられない」わけではないのです。そのため、乾燥した木材を使って家を作るだけでは、あまり効果的なシロアリ対策とはいえません。
湿気を好むシロアリは主に土の中に生息しているため、水回りをはじめとする床下部分は特にシロアリ被害に遭いやすい箇所です。そのため、床下部分に湿気が堪らないように工夫する必要があります。具体的には、家の設計段階から通気口の設置場所を考えておく、床下に湿気対策設備を設けるなどの方法が挙げられます。
これも樹種指定と同様、あくまでシロアリ発生のリスクを減らすだけの対処ですが、樹種指定と比べるとまだハウスメーカーに対応してもらえる可能性があります。
最後に、シロアリの侵入経路になりやすい床下の基礎部分に工夫を施すのも効果的です。例えば、地面と基礎部分の境目に木材を使用しない、あるいは基礎を完全密閉することで地面と基礎部分を明確に区切る、といった対処によってシロアリ発生のリスクを大幅に減らせることがわかっています。
ハウスメーカーを選ぶ際は、こういった特殊な工法に対応してくれる業者か、またそういった特殊工法での施工実績を持つ業者かというポイントに注目しましょう。
一度シロアリが発生してしまうと、薬剤の塗布などといった防蟻処理を専門業者に依頼しなければなりません。シロアリ用薬剤の持続力は、家の間取りや大きさ、薬剤の種類などにもよりますが一般的に5年間で、一回あたりの料金相場は15~30万円といわれています。
もしもシロアリが出た家にその後40年間住むのであれば、少なくとも7階の防蟻処理が必要なため、処理一回あたり15万円としても総額105万円かかる想定になります。家を建てた後に余計なコストや被害を出さないためにも、家を建てる段階から将来的なシロアリ発生リスクに備えた設計が大切なのです。
参照元:ユニバーサルホーム(https://www.universalhome.co.jp/blog/handa/2021/01/23/3668/)
シロアリは代表的な害虫のひとつで、「ガラスと陶器以外はなんでも食べる」と言われているほど1階の床下から2階部分までどこでも食い荒らしてしまいます。大黒柱などの木材だけでなく、壁の間の断熱材や基礎部分のコンクリートもシロアリのエサになり、外から見ると一見問題がなさそうでも内側から食い荒らすのがシロアリの恐ろしいところです。
そうしてシロアリが食い荒らした木材やコンクリートの隙間には、やがてカビが繁殖するようになり、人体やペットに様々な悪影響をもたらします。
家自体がボロボロになり、そこに繁殖したカビやシロアリそのものが人体に悪影響を与えるのはもちろん、シロアリ被害には精神的な苦痛もあります。「人生で最も高価な建物」と言われる家をせっかく建てたというのに、気づいた時にはシロアリに食い尽くされてボロボロになってしまっては、そのショックは計り知れません。
そうならないためにも、注文住宅を設計する段階から将来のシロアリ対策を念頭に置いた家づくりが重要なのです。
「家を建てた後にシロアリが発生したのなら、除去用の薬剤を使えばいいのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。もちろん一度発生してしまったシロアリに対しては、除去用薬剤を使うのが即効性のある対処法でしょう。
しかし、シロアリ用の薬剤には人体やペットにアレルギー症状を発生させえる成分が含まれているため、使用する際は注意が必要です。近年ではより安全性の高い製品も開発が進んでいますが、身体への悪影響はゼロではありません。薬剤を使わなくていいよう、慎重な家づくりが必要です。
西日本を中心に、日本全国に幅広く生息するシロアリです。湿気の多い場所を好み、湿った木材や土の中に多く発生します。塊状の巣は作らずに、木材やコンクリートなどへの加害箇所にそのまま住み着くのが特徴です。固定した巣を持たず、加害箇所を広げながら集団で移動するように生活するため、放っておくと家屋に与える被害は甚大になります。
関東〜九州・沖縄エリアを中心に生息するシロアリです。ヤマトシロアリとことなり、建物や土の中に大きな塊状の巣を作る修正があるため、一般的に数十万引き、多いケースでは100万匹以上が同じ巣に生息しています。群れで生息するイエシロアリは、短時間で激烈な被害を家屋にもたらします。
湿気の少ない建物であっても、遠くから運んできた水を使って建物を湿らせ食べるため、十分な対策が必要です。
別名「乾材シロアリ」とも呼ばれ、ヤマトシロアリやイエシロアリなどの土壌性シロアリと違い木材の中に穴を掘って生息しています。水がない環境でも生活できるためタンスや鏡台、机などの乾燥した木材家具を中心に食害します。木材を食べて穴を開けるだけでなく、穴の中から砂粒状の糞を排出するのも厄介なポイントです。
乾材シロアリによる被害は近年拡大しているものの、日本国内のシロアリ被害はほとんど土壌性シロアリ(ヤマトシロアリ・イエシロアリ)によるものといわれています。これらの土壌性シロアリは一般的に光や風を嫌い、暗く湿った場所、つまり土の中を好んで生息します。
つまり、家にシロアリが発生した場合、その侵入経路はほとんどの確率で土と家の間にある「床下」に限られます。
土の中に生息するシロアリですが、その一部は例年「羽アリ」となり、交尾などのために巣の外へ出てきます。一般的に、ヤマトシロアリの羽アリは4~5月の朝〜夕方にかけて、イエシロアリの羽アリは6~7月の夕方〜夜にかけて群飛するといわれており、これらのシーズン中に限ってはシロアリの侵入経路として「近隣住宅からの飛来」という可能性も考えられます。
シロアリは家屋にダメージを与えるだけでなく、家に住む人間やペットの健康面にも様々な被害をもたらします。一度発生したシロアリを完全に根絶することは極めて難しいため、家を建てる段階からハウスメーカーと相談のうえ、適切なシロアリ対策を施すことが重要です。